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1日も早い拉致被害者全員の救出にむけて!北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール2023 / 主催 : 政府拉致問題対策本部  後援 : 法務省、外務省、文部科学省
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入賞作品

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高校生部門 最優秀賞

継承~横田滋さんの信念に学ぶ~

盈進中学高等学校 
2年 池田 和音

 「娘に会いたい。」ただその一心で、拉致被害者家族会の初代代表を務めて長年、妻の早紀江さんと共に街頭に立った。全国の学校をまわり、講演を千四百回行った。
 だが、思いは叶わなかった。当時十三歳だった娘のめぐみさんが北朝鮮に拉致されてから四十三年が経っていた。めぐみさんが贈った誕生日プレゼントの櫛を肌身離さず持っていた横田滋さんは二〇二〇年六月、八十七歳の生涯を閉じた。
 拉致被害という重たすぎる問題を、私はいつも滋さんを通して考えていた。「穏やかで温和。」テレビの滋さんはそんな印象だった。世論や運動が北朝鮮に対して先鋭的に傾いたときでも、滋さんの姿や声、コメントは冷静で、対話的解決を重んじていたと私は感じていた。そして滋さんを通して、拉致問題は重大な人権蹂躙の問題ととらえるようになった。
 かつて横田家は、めぐみさんの名前を公表するかどうかで意見が割れた。公表すれば、北朝鮮によってめぐみさんが殺されるかもしれないという恐怖があった。しかし、滋さんは「Y・M」では世論に訴える力が弱いと判断し、公表を選んだ。父親として絶対に娘を取り戻すという強い意志がそこにあった。
滋さんは、家族を被写体にして写真を撮ることがすきだった。アニメ「めぐみ」(政府・拉致問題対策本部)にでてくる写真の数々。滋さんのめぐみさんへの溢れる愛情が伝わってきた。滋さんにとって、家族をカメラに収めることがしあわせな「普通の日常」であった。だが、それは突然失われた。滋さんはあの日以降、写真を撮らなくなった。
 滋さんの訃報に焦りを感じる自分があった。このままだと被害者の家族だけでなく、本人たちも亡くなってしまうかもしれない。北朝鮮はその時を待っているような気がする。
 日本国内のこの問題に対する関心も低下しつつあるように感じる。その状況に私は危機感を覚える。ありきたりかもしれないが、国民みんなが強い関心を持ち続けること、国民ひとりひとりがこの人権侵害問題を絶対に許さないと意思表示をし続けることこそが、滋さんの信念と行動を引き継ぐこと、そして、北朝鮮を動かすことにつながると私は思う。
 二〇〇二年十月、蓮池薫さんら五人の拉致被害者が帰国した。その際、めぐみさんの死亡が告げられ、滋さんはいつになく人目を憚らず号泣した。だが滋さんは、家族会の代表として、「元気でいた方の家族は、遠慮せずによろこんでください」と気遣った。私は、そんな滋さんの責任感とやさしさと勇気を心から尊敬する。そういう人に私もなりたい。
 その蓮池薫さんはいま、こう語る。「なんとしても拉致被害者の親世代が生きているうちに、被害者全員の帰国を実現させなければならない」と。それは私の思いそのままである。この問題は他でもない、私の問題なのだ。

[応募・問合わせ先]

〒100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1

内閣官房拉致問題対策本部事務局政策企画室 作文コンクール事務局

電話番号:03-3581-8898

メール:g.rachi@cas.go.jp

北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール2023

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