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1日も早い拉致被害者全員の救出にむけて!北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール2023 / 主催 : 政府拉致問題対策本部  後援 : 法務省、外務省、文部科学省
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入賞作品

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中学生部門  最優秀賞

市川さんに託されたバトン

薩摩川内市立祁答院中学校
三年 羽島 奈穂

 「ただいま」「おかえり」そんな何気ない会話さえできない家族が私の近くにいる。

 中一の時、アニメ『めぐみ』を観た。めぐみさんと家族はとても幸せそうだった。その時間は北朝鮮によって突然断ち切られた。母の手料理を食べる、兄弟と遊ぶ、そんな当たり前のことができない。我が身に置き換えると、ぎゅっと胸が締め付けられた。

 私は政府主催の「拉致問題中学生サミット」の代表に選ばれた。「めぐみ」を思い出すだけで怖いのに、この問題に向き合えるのかと迷った。両親の「良い経験になる」という言葉が背中を押し、拉致について学習を始めた。これまでの取組を調べるうち、次第に「全国の中学生と拉致問題を考えよう!」と決意した。しかし台風により参加断念となり、とても悔しかった。サミット当日の夕刻、地元鹿児島の拉致被害者、市川修一さんの兄健一さんが拉致現場付近で解決を訴えているニュースを見た。私は健一さんに会いたくなった。

 八月三十日、市川健一さん龍子さん夫婦とお会いできた。健一さんは「兄ちゃん」と呼ぶ修一さんをとても可愛がっていたから、そんな弟と急に会えなくなるとは考えもしなかったそうだ。大規模な捜索の甲斐なく十七年の月日が経ったある日、「修一さんは北朝鮮に拉致され、まだ生きている。」という情報が元工作員からもたらされた。「生きてさえいてくれれば」、家族は皆で涙を流したそうだ。そして、印象深いお話をされた。修一さんは初給料でお母様に大島紬の着物をプレゼントしたが、拉致が起き一度も袖を通すことなくタンスに眠ったままだという。お母様は、「修一が帰って来た時これを着て出迎える。」と言われていたが、叶わぬまま亡くなった。ご両親の意思を継ぎ、残されたご家族で懸命な救出活動にずっと取り組まれている。最後に市川さんからメッセージを託された。『人の命は地球よりも重い、命は大事です。小さい時からそれを思っていて欲しい。人が困っていたら助ける、行動に起こすのは難しいがそれができたら、人間として最高の行為です。私達が署名活動や講演をしている時「一緒に頑張りましょう、私達も手伝いますよ。」と皆が拉致問題解決への決意を心に刻んで欲しい。思いがけないことが起きるかもしれない人生。少し足を止め、家族と過ごす何気ない日々に感謝して欲しい。人には様々な考えがあっても一番大切なのは会話です。会話によって人の心は変われますからね。』ご夫婦のお話に私は大きく心を揺さぶられた。あの日から、私は拉致問題の報道により大きな関心を寄せるようになった。市川さん夫婦から託されたこのバトン、今度は私が皆に広く伝え、渡す番だ。「皆の人権が尊重される当たり前の日々を願い、命と何気ない日々に感謝しましょう。」と。

[応募・問合わせ先]

〒100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1

内閣官房拉致問題対策本部事務局政策企画室 作文コンクール事務局

電話番号:03-3581-8898

メール:g.rachi@cas.go.jp

北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール2023

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